小清水原生花園

 

真夏に向けてライダーが増え続けるこの場所は、毎朝通る通勤路になっています。

 

いつの間にか季節は初夏を迎え、エゾスカシユリハマナス(花の名前を書き連ねていますが、全く詳しくないので適当。小清水原生花園に咲いてない花かも…すみません)が黄色やオレンジの花を咲かし、深緑色の草原にアクセントをつけています。

そのコントラストの美しさにハッとさせられ、植物のちょっとした美しさを感じられる時間を毎日持てることは、きっととても贅沢なことなんだろな〜、と思いつつもその後始まる仕事に一抹の不安を抱えながら車で通り過ぎています。

 

網走〜斜里間をつなぐ国道244号が通るこの場所は、10数年前まではどさんこワイドのお天気の時間に流れるライブカメラで眺めるだけの場所でした。

ブラウン管の向こうに広がる「札幌からは遠い、北海道の東のどこかにある荒涼とした土地」。そんな認識しか持っていませんでしたが、まさか今こうして毎日突っ切ることになるとは。

 

ずっと暮らした札幌を飛び出し、縁もゆかりもなかったオホーツクの地に初めて来た時から2年が経ちました。その間、まさかまさかの連続。持つことはないと思っていたマイカーを購入することになったり、人生初の一人暮らしをこちらで始めることになったり、右手に小清水原生花園、左手に濤沸湖を眺めながら通勤することになったり。

 

元はと言えばいつまでも家族の元を離れられなかったことにコンプレックスを感じていたので、こうして物理的な距離をとることで半ば強引に親元から離れることにしたのです。しかし、慣れない地での、慣れない一人暮らしは想像以上に落ち着きません。「住み込みで働いている間に知人も増えたし、ここで暮らしてもなんとかなるかな」なんて考えていたのですが、甘かった。そんな甘さゆえ人様にも迷惑をかけた。

 

形だけは独立したものの、まだまだ自立できていません。

 

その現実を痛感し、もう札幌に帰ろうかとここで暮らすことを諦めかけたけれど、結局また異なった方法でこちらに住むことを選びました。この選択がどんな結果を招くのかわからないけれど、私は今確かに人生を使って実験している。

 

そんなことを考えながら今日も小清水原生花園を車で通り過ぎました。

 

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